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株式会社沖ワークウェル

特例子会社、株式会社沖ワークウェルは “チャレンジドとともに夢の実現” を企業ビジョンに、沖電気工業株式会社の社会貢献推進室の時代から今日まで13年に亘り、重度障害者の在宅雇用の推進に挑戦し続けています。
代表取締役社長の津田貴様とコーディネータの竹田純子様に障害者の在宅勤務を推し進めたパイオニア企業ならではの、業務の進め方の工夫や、在宅勤務者のマネジメントの工夫、社員教育の極意、次世代を担う子どもたちへの出前授業、などについてお話を伺いました。

前社長の木村良二様が、沖電気工業株式会社の初代社会貢献推進室長として“本業での社会貢献”を目指して、試行錯誤を続けながら、重度障害者の在宅雇用の推進に踏み出されたと伺っております。こうした流れを経て、津田社長ご自身は、どのようなきっかけで重度障害者の在宅雇用に取り組まれることになったのでしょうか。

1997年に骨折で不自由な思いを味わったのを境に、福祉に関する仕事に携わりたいと思い始めました。そんな矢先、社会貢献推進室のチラシの回覧を目にして、その部署の存在を知りました。
当時は、ホームページ制作の仕事は在宅でできるものの、量的に少なく、コンスタントにあるわけではなく、業務指示の経験者もいない、という状況で、可能な仕事を取りまとめ、仕事の指示や納期管理ができるコーディネータが必要とされていましたので、数多くのプロジェクトマネジメントを手掛けた経験があった私が室長の木村さんに一緒にやらせてくださいと、名乗りを挙げたのです。

在宅雇用制度の発足はどの様な経緯ですか?

在宅勤務Nさんの仕事風景社内ベンチャービジネス提案制度を利用して重度障害者の在宅雇用をテーマにしたプロジェクトを提案したところ、採択されました。事例がないので、やったことがないことに挑戦して成功させたいという気持ちもありましたね。
1998年には3名の車椅子使用者を正式雇用し「OKIネットワーカーズ」が誕生の運びとなりました。その後、2004年に13名のネットワーカーズを中心に障害のある社員20名が結集し特例子会社、株式会社沖ワークウェルが設立されました。
現在は、在宅勤務者35名となっております。

在宅勤務者の人数が増えるにつれ、マネジメントの工夫が必要だったと思われますが?

3名からスタートして序々に人数が増えるにつれ、マネジメントも大変になってきたので、コーディネータの下に在宅勤務者の中からディレクターを養成し、ディレクターが各在宅勤務者へ指示する仕組みをつくりました。社員同士で仕事の連携が上手く取れるようになって良かったと思います。

専属のコーディネータの配置については、いかがお考えでしょうか?

在宅勤務の場合、業務や体調を把握するためにまめに会話のキャッチボールを交わし、信頼関係を築くことが大切です。実際の仕事を上手くまわす上で、業務に長けた専属のコーディネータの存在は重要と思います。SE出身の竹田や、プロジェクト運営に携わり仕事を組み立てていた私のように業務に明るい人間がコーディネートするのが望ましいでしょう。

在宅勤務者に対して、どのような意識で教育をされていますか?

障害者だから腫れ物にさわるように接するという意識はなく、社長として毅然とした態度で、在宅勤務者を一般の社員と同じ一企業人と見なして厳しく接しています。スキルよりもコミュニケーション能力を重視して採用しているので、皆、厳しさを本当の愛情とわかってくれる人ばかりです。

在宅勤務の場合、評価が難しいと思われますが?

確かに難しいですが、基準を決めて納得が得られるような評価を行っています。
在宅勤務制度発足当時は、給与を入社年数で決定していましたが、現在は「プロジェクトマネジメント」「デザイン」「プログラミング」「アクセシビリティ」「教育」「名刺編集」「懇親会での貢献」などスキル項目別に評価し基本給に加点しています。

勤務は在宅勤務者の体調管理を優先させていると伺っておりますが、具体的にはどのようなフォロー体制を組まれているのでしょうか?

6時間勤務なら仕事を5時間で終わらせて1時間の余裕を持たせ、体調が悪い時に横になったり、スキルアップのための勉強の時間に当てるなど、障害者が働き易い環境で安定して長く勤めてもらえるよう、工夫しています。

コミュニケーションシステム『ワークウェルコミュニケータ』についてお伺いします。デモを拝見し、音声でメンバーに招集をかけて瞬時に会議室に集合する流れがスムーズだったのに驚きました。具体的な活用例を教えていただけますか?

ワークウェルコミュニケータの画面 在宅勤務者とのやりとりには、『ワークウェルコミュニケータ』を使い、普段は全員、共用ルームで仕事をしています。業務などの打ち合わせをしたいときには、音声でメンバーを呼び出し、空いている会議室にすぐに移動してもらいます。そこで個別に打ち合わせを行っています。
音声ツールとして日常的に、まめに在宅勤務者と会話しています。声の調子がおかしいときは個々に話しかけてフォローを入れるなど、体調の把握にも役立っています」。 (コーディネータ・竹田純子様)

 

今後の取り組みについてお伺いします。在宅勤務者の増員はお考えでしょうか?

目の届く範囲で現在の35名とやりとりしていきたいので、増員は未定です。在宅勤務制度の拡大を願っているので、他社での雇用を増やしていただくため、長年培ったノウハウを生かし在宅雇用に関する相談に応じています。
もうひとつは、子どもたちへの支援で、子どもたちが成長した時点で就労に向けた技術の習得を行うのは時間がもったいないので、小・中学生のうちに勤労観・職業観を育み、在宅勤務という働き方もあることを子どもたちに知ってもらえるよう、特別支援学校などでの『出前授業』を開始しました。技術を持った障害者が増えれば、企業も採用する可能性があり、雇用の増加につながると思いますので、今後もこの活動に力を入れていきます。

最後に、障害者の在宅雇用の導入を検討されている企業に向けて、この分野のパイオニアとして一言お願いします。

実際に弊社でできているので、障害者在宅雇用の導入は実現できないことはないと思います。まずは一歩踏み出してみてください。何か行動を起こしたら、情報も人も集まって来ますよ。

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